防音室ってどんな部屋?「大きな風呂桶を作る理論で考える防音室」
防音室が音を防ぐ部屋というのはわかっていても、どんな工事が具体的に必要なのかはいまいち想像しにくいのではないでしょうか?
そんな時、バドシーンではお客様に大きな風呂桶のお話をさせていただいています。
風呂桶!? と思われるかと思いますが、今回は弊社が考える防音室の風呂桶理論をご紹介します。
目次
防音室と風呂桶の共通点
木の板が外側に貼られいるレトロな風呂桶を思い浮かべてみてください。
それも自分がすっぽり入れるような大きな大きな風呂桶です。
この大きな風呂桶を防音室として見立てて考えると防音室創りに何が必要かが不思議とスッと頭でわかるようになってきます。
・風呂桶を構成する板の数→防音工事の種類と数
・板の高さ→防音性能の高さ
・入れる水の量→音量
この3点を想像しながら考えていきます。
防音室に必要な工事の種類=風呂桶の板の数
風呂桶の外側を構成する無数の板。これが防音室に必要な工事の数になります。
床の工事
壁の工事
天井の工事
開口部(ドア、窓)の工事
換気扇の工事
吸排気の工事
エアコンの工事…etc
防音室を作るには様々な工事が必要となってきます。必要な工事の分だけ風呂桶の外側の板を準備して、ぐるっと円にして風呂桶を作ります。
防音室の防音性能=風呂桶の板の高さ
次は、工事の数だけ用意した外側の板の高さを決めます。
高さは防音の性能の分だけ必要になります。防音性能が高い部屋ほど音を防ぎますから、板の高さが高くなるほど防音性能も高いものになります。
さぁ、板の数が決まり、高さが決まり、一つの風呂桶が出来上がりました!
早速水を入れていきましょう。
防音室で発生する音=風呂桶に入れる水の量
完成した風呂桶に水をいれましょう。
水は防音室で発生する音であり音量です。
板と板の間から水が漏れないようにしっかり板の隙間を合わせて水漏れのない創りにしなければいけません。
間から水が漏れてしまったら何の意味もない風呂桶になってしまいます。
完成した防音室はどうでしょうか。
音が漏れないようにしっかり機密を上げる工事をしなければいけません。間から音が大きく漏れてしまってはなんの意味もない防音室になってしまいます。
水が漏れない風呂桶こそが、音を漏らさない防音室ということになります。
小さな風呂桶と大きな風呂桶
少量の水を入れるのであれば小さな風呂桶で深さも浅めのものでいいでしょう。
大量の水を入れたい時は、大きな風呂桶が必要です。
防音室も同じです。小さな音量で利用するなら防音工事は最小の範囲でいいでしょう。
しかし、大量の水を入れるのであれば、その水の量に見合った大きな風呂桶が必要になります。
防音室を大音量で利用したいとなると、多くの防音工事が必要となります。
防音室の部分的な工事の難しさ
お客様のご相談でよくあるのが、「窓だけ防音効果をもっと高めたい」や「床は防音に影響なさそうだから工事を削減したい」といった部分的な工事の防音性能の上げ下げという要望です。
これを風呂桶理論で考えてみましょう。
防音性能を決めるのは風呂桶を構成する板の高さです。窓の工事の板の高さだけ高くして、その分床の工事の高さを低くします。
なんだかいびつな風呂桶になってしまいました。
一つの板の高さを高くても、他の板も同じ様に高くしなければ、桶に入る水の量は変わりませんし、逆に一部の板の高さを低くしてしまうと今まで入っていた水が桶から漏れてしまいます。
つまり、一箇所の工事の防音性能を上げたからといって、その部分だけ防音性能が上がることはありません。
逆に一部の工事だけ性能を下げてしまうと防音室全体の性能がそれに伴い下がってしまいます。
風呂桶に入る水の量に対して、全ての板の高さを揃えなければ、水は溢れてしまうのと同じ様に、防音室に必要な全ての工事の性能を均等に揃えなければ音はたちまちに漏れてしまうのです。
防音室の性能を上げたいと思った時は、防音室に必要な工事のクオリティを全て揃えることが無駄の無い最もコスパの良い防音室創りの近道と言えます。
まとめ
いかがだったでしょうか、防音室の風呂桶理論。
目に見えない音を風呂桶と水に例える事で防音工事に何が必要なのか全容がわかりやすくなります。
・防音室を考える時は水の漏れない風呂桶を作るイメージで
・使いたい水量(音量)に合わせた風呂桶(防音室)を作る
・一部分の防音性能を高めても防音室の性能は変わらない
・一部分の防音性能を下げてしまうと、防音室全体の性能は下がってしまう
防音室を作ろうと思った時、ぜひ風呂桶理論を思い出してみてください。
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防音アドバイザー /並木勇一チャンネル